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代表弁護士の眞木康州です。
今日は、建築工事の請負契約における瑕疵担保責任についてお話しします。
建築工事の請負契約の目的物に「瑕疵」があれば、建築主(施主)は、請負業者に対して、瑕疵修補の請求ができますし、またこれに代えて、あるいは修補請求とともに損害賠償の請求もできます(民法634条)。
それでは、「瑕疵」があると評価される基準は、どのように考えればいいのでしょうか。この点について、最高裁の重要な判例がありますので、ご紹介いたします。
<最高裁平成15年10月10日判決>
建築主(施主)は、請負業者との間で、学生向けワンルームマンションの建築工事の請負契約を締結しました。
その際に、建築主は、阪神淡路大震災の直後ということもあって、建物の安全性確保に関し、特に神経質になっていました。
そこで、建築主は、請負業者に対して、鉄骨柱の断面寸法を当初の設計(250㎜×250㎜)よりも太くする(300㎜×300㎜)にするよう求め、請負業者はこれを承諾していました。
ところが、どういうわけか、請負業者は、その約定に反して、もともとの設計どおりの鉄骨(断面寸法250㎜×250㎜)を使用して柱を施工しました。
なお、もともとの設計どおりの断面寸法の鉄骨を使用して柱を施工した場合にも構造計算上、建物の安全性には問題はありませんでした。
このような事案において、最高裁判所は、概要、以下のとおり判示し、「瑕疵あり」と判断しました。
「本件請負契約においては、建築主及び請負業者間で、本件建物の耐震性を高め、耐震性の面でより安全性の高い建物にするため、柱について断面寸法300㎜×300㎜の鉄骨を使用することが、特に約定され、これが契約の重要な内容になっていたというものというべきである。
そうすると、この約定に違反して、断面寸法250㎜×250㎜の鉄骨を使用して施工された柱の工事には、瑕疵があるというべきである。」
建築工事の請負契約における「瑕疵」にあたるかどうかは、上記の最高裁判例によれば、重大な約定違反があるかどうかを基準に判断されることとなります。
もっとも個別の案件において、「重大な約定違反」の有無を判断することも容易でない場合が多いです。
契約締結時において交付される設計図面等の設計図書だけで請負契約の内容のすべてが明らかにならないケースも多く見受けられるためです。
このような場合にどのようにして請負契約の内容を画するかについては、次回以降にお話しさせていただきます。
このような紛争に巻き込まれた場合には、是非、一度、当事務所までご相談下さい。
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