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代表弁護士の眞木康州です。
今日は、前回に引き続き、建築紛争の中でご相談を受けることの多い私道の問題についてお話しさせていただきます。

通行地役権の問題について

今日は、通行地役権の問題についてお話しいたします。
通行地役権は、要役地所有権者と承役地所有権者との間の合意によって設定されます。

この合意には、明示的な合意と黙示的な合意があります。
明示的な合意があっても、その内容(通行の範囲、通行の目的・態様、存続期間ないし条件など)がきちんと書面化されていなければ、紛争の原因となる場合がありますので、明示的に合意したのなら、後日の紛争を避けるためにも合意内容をきちんと書面化しておくとよいでしょう。
また、できれば、登記までしておくと、承役地を承継取得した人にも対抗できますので、なお安心です。

次に黙示的な合意についてお話しします。
黙示的な合意というのは、少しわかりにくいですが、要役地所有者と承役地所有者との間で通行地役権を設定する旨の明示的な合意がない場合を言います。

明示的な合意がないのに、なぜ「合意があった」といえるのか?
例えば、承役地所有者が、要役地所有者による同承役地の通行を(義務としてではなく)好意で容認してきたに過ぎない場合に、通行地役権の設定の(黙示的な)合意があったとは言えません。
反面において、土地を分譲するような場合には、当然のことながら、分譲地内に通路を設ける必要があります(さもなければ、公道に面する分譲地以外の分譲地はすべて袋地のようになってしまいます)。

そして、通路は、それぞれの分譲地を取得した者が自身の土地の一部をお互いに差し出すような形で形成される場合がよくあります。
このような場合には、それぞれの分譲地取得者は、他人が通路として差し出した土地を自分が通行できる代わりに、自分が通路として差し出した土地を他人が通行することを受忍していると考えられます。それ故、たとえ、それぞれの分譲地取得者の間に明示的な通行地役権の設定がなくとも、お互いに通行地役権を設定する旨の(黙示的な)合意があったといえるのです。
もっとも、紛争になる事例の多くは、上記のような典型的な場合とは少し事情が異なっている場合です。

裁判例によれば、相互に黙示的な通行地役権の設定合意があったかどうかは、①分譲者の意思、②負担の公平、③分譲の目的や経緯、④通行の事実、⑤周辺地の利用効率などを総合的に考慮して判断しているようですが、個別の事案において、黙示の通行地役権の設定が認められるかどうかの判断は、なかなか難しいものです。

このような紛争に巻き込まれた場合には、是非、一度、当事務所までご相談下さい。
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